弁護士ブログ

女性総合法律事務所ラレーヌビクトリア

ジェンダーバイアスを意識した財産分与

1.ジェンダーバイアスとは男女の役割に無意識に固定的な観念を持つことや、そのために社会的な評価や扱いが差別的になることを指す言葉です。
2.アンコンシャスバイアスとは無意識による思い込みです。
3.令和5年2月内閣府男女共同参画局発出の女性活躍・男女共同参画の現状と課題で明らかになった日本国における家庭での性別役割分担
①2022年日本国のジェンダーギャップ指数は世界146か国中116位です。
②末子が就学前の夫婦の仕事時間、家事・育児関連時間(5年ごとの推移)によれば、末子が就学前の夫婦について、妻の就業の有無に関わらず夫の家事・育児関連時間は増加傾向にあるが、依然として妻よりも非常に短い状況であり、男女共同参画の実現に向けては、女性活躍推進と並行して、男性の活躍の場を家庭や地域に広げることが不可欠であるとされている。そのためには、長時間労働の是正や、コロナ禍で広まったテレワーク等の多様で柔軟な働き方をさらに普及させていくこと等が必要であるとされています。
③具体的には、令和3年時点で、夫有職/妻専業主婦世帯において
■夫 / 仕事時間438時間 家事20時間 育児64時間
■妻 / 家事229時間 育児289時間
であり、育児・家事が圧倒的に妻に偏っている状況にあるとされています。
4.今までの財産分与では、女性に偏っていた育児、家事、家計管理等の家庭内活動は善意と愛情に基づく無償活動と位置づけられて来た為、財産分与において経済的 評価はされてきませんでした。
5.しかし、これらの家庭内活動を単身で履行しなければならないバイアス(いわゆるワンオペ)により、女性は稼働能力を制限され、離婚後の推定稼働年収に、夫との間で著しい格差が生じるという現実があります。
6.離婚後、養育監護による稼働能力制限が運命づけられているのが女性です。
7.家庭貯蓄はというと、大半が子どもの将来の学資の為、家族に何かあったときのためにされるものです。
8.それらを総合考慮すると、離婚後、妻と子どもとで再出発していくのに、家族人数割合で考えただけでも、財産を夫と妻=5対5で分けるのでは不平等なのではないか(5割を超える相当額の分与を求める)という考えにたどりつきます。
9.財産分与はなかなかわかりにくい点も多いかと思います。

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